僕たちは、森の人の村から移動を開始していた。なるべく人の通らない道を進む。僕たちが目指しているのは、ガーディ教団本部のあるあの街。


 ――――そこにはグラファイトがいる。


 長老様たち森の人も、僕たちの話を聞いて協力してくれる事になった。彼らの運動能力を考えると心強い。

 問題は、どうやってグラファイトに近づくか……


 ジャンさんが脱獄したのも、きっともう知られている。それによって警備は強化されているだろう。

 僕たちとナクレたちの森の人、たったこれだけでガーディ教団の武装した兵士を突破できるとは思えない。武器も人数も、僕たちより遥かに多いのだから。

 その問題を解決させたのは、やはりジャンさんだった。

 ジャンさんは投獄中も、バラバラになってしまった治安隊の仲間と、密かに連絡を取っていたそうだ。だから、足の速いナクレたち森の人に連絡係りになってもらえれば、今よりもずっと人数は集められるはずだ。

 大勢で騒ぎを起こして、その混乱に乗じて教団本部へなだれ込む、それが僕たちの計画だった。

 治安隊の人たちへの連絡をナクレたちに託し、僕たちはそれとは別にガーディ教団本部を目指した。




 街のすぐ近くまでたどり着いたのは、移動を開始してから五日目の夕方だった。僕たちよりも先に、ナクレたちは着いていたみたいだ。

 その人数に驚いた。

 以前街の側に治安隊が作っていた、棘の茂みの中の簡易居住地を集合場所にしていたんだけど。そこには驚くほど大勢の人たちが集まっていたのだ。