「しっかりしろ! ミュール! お前は死んだらだめだ! ミュール!」

「あの、ひと、を……たすけ、………………」


 ……ミュールさんは、最後まで言葉を続ける事は出来なかった。


 閉じられた瞳。

 力の抜けた手。

 顔色は血の気を失って白い。


 そのどれもが、ミュールさんが逝ってしまった事を示していた。




「――――ミュール!」




 部屋の中には、ジャンさんの悲しい声が響いていた。