僕たちは男の手引きで、クレールに気付かれないように集落を後にした。そしてその足で、ガーディ教団本部のある街に戻ってきていた。

 今は治安隊の人はこの街に近づく事が出来ない。だから、僕たちが代わりに、ジャンさんが捕えられている場所を探る作戦だ。

 クレールを助けるには、問題を解決しなくちゃいけない。それは、僕たちとジャンさんの事。

 今の状態では、僕たちには今は何も話してくれないのは、もう分かっていた。あの夜に黙って部屋を飛び出した、あれが今の彼の気持ちなんだと思う。

 だったらもう片方の問題を解決するしかない。

 クレールが一番信頼しているジャンさんを、ガーディ教団から助け出す事。それがクレールを助ける事にもなるんだ。


 治安隊の男は別れ際に、僕に綺麗な装飾のされた銃を渡してくれた。それは、ジャンさんが使っていた物だそうだ。ジャンさんもとても大事にしていたみたいで、ガーディ兵士に連れて行かれる時に、男にこっそりと渡したんだそうだ。

 魔法石を銃弾にしている魔法の銃だ。

 僕のオプトゥニールは、治安隊がまだ持っている。だから使わないにこしたことはないけど、護身用に有りがたく預かる事にした。


「クレールの為に、みんなの為に、頑張ろう!」


 目の前にそびえるガーディの本部を見上げながら、レイも心を決めたようにそう言った。


 本部の建物の中へは、びっくりするほど簡単に入る事ができた。

 初めて来た時言い争った門番は、僕たちの顔を覚えてくれていたみたいだ。にこやかな表情で、聖女様、勇者様と、敬礼までしてくれた。