「名前の下の【∞】ってなんだっけ?」


「infinity(インフィニティ)だろ?」


「インフィニティ?それって__?」


「【無限大】って意味だよ」


2人が話している。


無限大。


そうか、無限なのか。


記憶がどんどんどんどん溢れ出てくる。


私はアプリで【課命】して、自分を変えた。


課命するには、寿命を使わないといけない。好き勝手に願い事を叶えると、当然のことながら寿命はなくなる。


自分の寿命を増やすには、他人を登録して寿命を奪い取る。


あの火事で、私は大勢から寿命を奪い取った。


その年数は【∞】だ。


だから私は、152歳になった今も、死なない。


私は死なない。


永遠に生き続ける。


もう死にたい。


死んでしまいたい。


なにも考えたくないのに、これからもずっと、私は生き続けるんだ。


それが私に与えられた【罰】。


命を無駄遣いした私に課せられた【罰】なんだ。


次に目を覚ませば、一体、何歳になっているのだろう?


それを考えるだけで恐ろしかった。


けれど恐ろしさを感じる前に、私は再び目を閉じた。


生き続けるために__。


(命)