桃子はどんどん綺麗になっていった。


同じ高校に進学し、私たちはいつも一緒だった。


どちらかというと、これまでは私が桃子を守っている感じだったが、顔に焼け跡が残る私を、今度は桃子が身を呈して守ってくれたんだ。


お陰で、奇異な眼差しも気にする必要はなかった。


桃子は彼氏もできて、幸せそう。


私にも言い寄ってくれる男子も居たが、顔の痣のこともあって、どうしても積極的にはなれない。


華やかとは程遠い、でも穏やかな学校生活を送って、
美術大学に進んだ。


絵を勉強し、インテリアデザインの会社に就職する。


私がデザインしたものが形になる喜び。


それなりに充実した社会人生活を謳歌していると、桃子が結婚するという。


高校時代の彼ではなく、短い周期で付き合う男性を変えていた桃子が、ようやく本当の幸せを掴むんだ。


私も心から嬉しかった。


ウエディングドレス姿の桃子はとても綺麗で。


「次は渚の番よ」


ブーケを直接、手渡される。


それなりに男性と交際歴もあったが、どういうわけか外ればかり。


浮気され、貢がされ、その頃には男性に対して不信感しか持ってなかったが。


桃子の披露宴で出会ったのが、溝口武(たけし)だった。