__⁉︎


肩に激痛が走る。


冷たい廊下に突っ伏していたが、背中は燃えるように熱い。


体を起こすと、理科室は木っ端みじんに無くなっていた。


使われていなかったが、薬品でも置いてあったのか?


爆風に飛ばされて壁に打ちつけたのだろう、肩が脱臼している。


「__桃子?桃子‼︎」


かなり離れた壁際に、桃子はぐったりと倒れていた。


肩を庇いながら、慌てて駆け寄る。


「桃子⁉︎しっかりして、桃子‼︎」


「__足が」


足首を掴んで、苦痛に顔を歪める。


私が少し触れるだけでも、桃子は大きな悲鳴を上げた。


折れているかもしれない。


ここは3階の理科室。しかも端っこだ。向こうは行き止まり。道は一つしかないが__。


炎の壁が行く手を遮っていた。


「桃子、立てる?」


「ダメ。渚、1人で逃げて」


「ダメよ‼︎一緒に逃げないと、一緒に__ゴッ‼︎」


蔓延する煙を吸い込んで、激しく咳き込んだ。


胸が痛い。


このままじゃ、焼かれる前に煙で意識を失ってしまう。


「このままじゃ、2人とも__逃げ、られない。だから、渚、1人で__助けを呼んでっ」


桃子はそう言うと、苦しげな表情で私を押した。


でも。


でも、ここから逃げられたとしても、私は助からない。


私にはもう【寿命】がないんだから__。