裕也が目を細め、一歩、詰め寄ってくる。
「だって完成するまでずっと同じ姿勢だよ?」
「俺は構わないけどな」
「6時間くらいかかるから。それでも良かったら今から描くから座ってくれない?」
近くの椅子を勧め、右手で描く素振りをした。
ペンも紙もない。
一か八かの賭けだった。
すると__。
「6時間は長いな。まぁ、写真でいいか」
椅子には座らず、そう言った。
「明日には渡すから」と、アプリを起動させてから写真を撮る。
明日には、お前は居ないけどな。
心の中でそう呟きながら。
そして私は、お前の代わりに明日を迎える__。
「ここ、思い出すな?」
「__そうだね」
思い出したくない思い出だが、適当に話を合わせなくちゃいけない。
すぐに、今すぐにでも裕也を【登録】しないといけないからだ。
「俺を騙して、あいつと逢引してただろ?」
「でも、今は裕也一筋だよ」
【名前を入力して下さい】
「そうだな。あいつを殺して俺への愛を証明したもんな」
「私は裕也を愛してるから」
【三鷹裕也】
「俺も愛してる」
「私も」
【登録しますか?】
「殺してしまいたいくらい、愛してるよ」
【はい】を押した。
死ぬのはお前だよ。



