あなたの命、課金しますか?



教室の片隅で、階段の踊り場で、体育館を貸し切り。


桃子は麻里恵たちグループと、真剣にパラパラを練習していた。


何度も何度も誘われたが、私は絶対に首を縦には振らない。


あれから一切、ブスやらと罵られない平穏な毎日。


もしかしたら、本当に改心したのか?


なんて信じかけるが、最後の最後で、私の本能が待ったをかける。


私としては、桃子が楽しそうにしているならそれでいい。


井沢さんたちの例もあり、桃子はアプリなんか使わずに、自分の【人徳】で人の輪を広げているのかもしれない。


それをいつまでも目くじら立てるのも大人気ないが、それと同時に、なんだか桃子が遠くなっていくようで寂しい気持ちもあった。


「渚ー‼︎写真とってー!」


お昼休み、一通りの練習が終わったのか、ユーロビートの音楽が途切れたところを、呼び止められた。


すっかりギャルとなってしまった桃子。


スマホを手渡され、全員がポーズを決める。


若干、ぽっちゃりしているけれど、なんだか麻里恵たちグループに馴染んでしまっていた。


だから悔しかったのかもしれない。


気づくと私は、自分のスマホを取り出していた。


「良かったら1人ずつ撮らない?あとで全員に送るからさ」


そう言って、自分のスマホに写真をおさめた。