それからも、麻里恵は桃子をなにかと構った。
お昼を一緒に食べたり、可愛らしいメイクをしてあげたりと、笑い者にしている素振りはない。
「麻里恵ちゃんは、とっても優しい子だよ?」
どんどんギャル化していく桃子にそう言われても、私は絶対に信じなかった。
お目付役として、ボディーガードとして桃子に張り付く。
なにか魂胆があるはずだ。
さんざっぱら人をこき下ろしておいて、急に改心なんてするはずがない。
本当の狙いはなにか、常に目を光らせていたが__。
「パラパラ?」
「そう、今度の文化祭でやるんだよね。メンバー足りないし、桃子と渚にも参加してほしいんだよー」
両手を合わせて肩をすくめるが、白々しい。
どうせ踊れない私たちを馬鹿にするつもりだろう。
どうする?と私にアイコンタクトしてきた桃子に向かって、全力で首を振った。
机の下で足も蹴ってやる。
「なんか楽しそう。やってみようかな?」
人の好い桃子は、すっかり信用しているようだが、私はそうはいかない。
「私はやめとく」
「渚、やらないの?」
「やるわけないじゃない‼︎」
机をバン‼︎と叩いて立ち上がる。
いくらなんでも人が良すぎる。毎日毎日、家畜扱いされたのを忘れたのか?ブスだから仕方がない?
冗談じゃない‼︎
私の怒りの矢印は、呑気に振り付けを習っている桃子にも向けられていた。



