「いたっ‼︎」
悲痛な声とともに、桃子が体育館の床に転んだ。
バスケの授業がストップする。
「桃子、大丈夫⁉︎」
「うん、大丈夫」
「でも今、突き飛ばされたんじゃ__?」
桃子の背を撫でながら、私は睨みつけた。
「はぁ?あたしが押したって言うの?冗談は顔だけにしろよ」
「押したじゃない‼︎」
「だから、その顔でなにえらっそうに言ってんだよ‼︎ざけんなよ」
と、柴田さんはボールを投げつけてきた。
私、じゃなく、まだ立ち上がれない桃子に。
「ごめーん。ブタが鈍臭いからさー」
「桃子だって?どこらへんが桃なんだよ、ブタが」
「類はブスを呼ぶってね」
耳を塞ぎたくなる悪意ある言葉が、容赦無く突き刺さる。
私はいい。
私は我慢できる。
でも、桃子まで巻き込むなんて__許さない‼︎
「ちょっと‼︎」
「なんだよ、ブスがいきがってんじゃねーよ‼︎」
「渚‼︎」
殴ってやろうと向かっていく私を、桃子が力づくで止める。
「桃子、悔しくない?あそこまで言われることないよ‼︎」
「いいの。私はいいから」
涙目で言われると、怒りを抑えるしかない。
そんな私たちを見て、さらに馬鹿にするんだ。
でも柴田さんの狙いは当たっている。
私を痛めつけたいのなら、私そのものじゃなく、桃子を攻撃すればいい。
それはとても効果的だった。



