正常な判断ができないのか?
地下室で死にかけの南くんと2人きり。
助かるのは1人だけ。
南くんの指の味が舌に浮かぶ、噛んでもいないのに。
そんな状況下に置かれても、私の頭は嫌というほど冷静だった。
南くんを殺してしまえばいい。
そうすれば、裕也は私を抱き締めるはず。
私のことを心から信用させ、信頼を勝ち得ないことには裕也には敵わない。
それに、南くんはもう__。
そっと、枕にしていたクッションを外した。
動けない瀕死の南くん。息の根を止めるのは、女の私でも容易い。
私を守ると言ってくれた。
私の笑顔が好きだと言ってくれた。
私に、安らぎをくれた。
ありがとう、南くん。
そして。
ごめんなさい、南くん。
クッションを、そっと顔の上に置いた。
そのまま覆い被さるように、全体重をかける。
やがて、南くんの手足が痙攣し出し、とんでもない力で暴れ出す。
今にも起き上がりそうで、私は涙を流して振り落とされないように押さえつける。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
そう何度も繰り返しながら。
やがて南くんが動かなくなる__。



