あなたの命、課金しますか?



そしてそれは、朝のSHRだった。


「葉月、ちょっと立ってくれ」


担任の岩本先生は、お父さんの年代の社会科教師。


名前を呼ばれた瞬間、ドキンと心臓が高鳴った。


まさか__?


「葉月の書いた絵が、コンテストで金賞を獲った」


ざわついていた教室が、静まり返る。


ぴんと糸を張ったように。


しかも席はど真ん中。


「先生も前から葉月の絵は、とてもよく情景が表れていると思っていた。みんなも展示されている絵を見に行ってみるといい」


そう言って、拍手をする。


まばらな拍手が、桃子の目一杯の賛辞に後押しされ、渋々といった様子で教室内に広がっていった。


勘弁してほしい。


拍手の間から聞こえてくる、汚い笑い声。


私はすぐに席に座ると、俯いて手元を見る。


笑いたければ笑うといい。


【願いが叶って良かったですね】


私には、このアプリがある。


これで間違いない。


このアプリでいう【願い事】は、現実世界でもおこりうるんだ。


選択肢がないのが難点だが、これまで色褪せていたスクールライフが、少し色づいたように思える。


新しい願いが更新されるのを、私は待ちきれない。


今か今かと、その時を待つ。