目覚めると、すぐに腕の痛みが襲ってきた。


包帯が巻かれている。


顔をしかめて身を起こすと、そこは病院で、どうやら私はベッドの上で眠っていたよう。


「渚、気がついた?」


枕元から私を見つめる裕也に、ギョッと身を引く。


「__いや、嫌‼︎」


「渚?もう大丈夫だ」


「離して‼︎」


裕也が伸ばす手を振り払う。


その反動で、反対の手が激しく痛んだ。裕也に突き飛ばされて怪我をしたところが。


その時、ちょうど看護師さんがやってきた。


「目が覚めたのね?骨折してるから、しばらく安静にしてね」


「骨折?」


「でも大丈夫よ、優しい彼氏くんが運んできてくれたから。あなたが目覚めるまでずっと、側を離れないんだもの。大事にされてるのね」


そんな言葉に微笑み返すこともできず、ただ心かスーッと冷たくなっていく。


裕也は確信犯だ。


カッとなると我を忘れるのに、私の体に目立つ傷は残さない。


もう、私の心はボロボロだというのに__。


「裕也__別れてほしい」


「ん?」


「別れてほしいの」


流れる涙は、腕の痛みからか、恐怖からくるものか、自分でもよく分からない。


裕也の目を見ることができず、俯いていると__。


「いいよ」


「えっ⁉︎」


思わず顔を上げて彼の顔を見る。裕也は笑顔だった。


「渚がそうしたいなら、いいよ」