よくもまぁ、こんな嘘を淡々と言えるもんだ。 捨てた、なんてさ。 紗枝、きっと落ち込むんじゃないか? 俺は少し、複雑な気持ちになる。 「お弁当箱、洗ってくれたの?」 しかし。 紗枝の突っ込みどころは違っていた。 俺の手によってメモが捨てられたことよりも、俺が弁当箱を洗ってくれたということに驚いていた。 「石鹸で軽く洗った程度だから、家に帰ったらちゃんと洗って」