「……ねぇ、直樹くん」 バスが発車してすぐ、紗枝が口を開いた。 「お弁当箱にさ、メモが入っていなかった?」 「えっ……。いや、気づかなかったけど……」 ズボンのポケットに入っている紗枝が書いたメモ。 その部分に、俺の全神経が注がれる。 「気づかなかった?」 「あぁ。弁当箱洗うときに、ラップ捨てたから……。一緒に捨ててしまったかも」