彼女……。 そりゃ、俺だってほしい。 だけど、相手が違うんだ。 俺が好きなのは紗枝で。 少し前の俺は、紗枝の彼氏になることを夢見ていたんだ。 「紗枝の友達でも紹介しようか?」 「……えっ?」 「紗枝といちばん仲の良い友達……亜紀ちゃんっていうんだけどさ、その子が……」 「いや、いいよ。飢えているわけじゃないし」 ――冗談じゃない。