紗枝が息を引き取ったその日に通夜が行われた。
行くつもりもなかった俺は、部屋に閉じこもり、ベッドの上にだらしなく横たわっていた。
枕元に無造作に置かれた携帯。
無心でメールをひらく。
紗枝と最初で最後だった、あの弁当のメール。
紗枝がこの携帯を鳴らしたのは、あのときだけだった。
今朝、もしも俺がジャージを忘れなかったら。
取りに行かずに、制服のまま体育の授業を受けようと諦めていれば。
きっと、なにかが違っていたんだ――。
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