何度呼びかけても、紗枝は目を閉じたまま、苦しそうに呼吸を繰り返していた。 担架のうえの紗枝にすがりつく亮太。 一刻を争う状況。救急隊員が、俺に目配せした。 「亮太、あとで病院に行こう」 力ずくで亮太を引き離し、 紗枝を乗せた救急車は、サイレンを鳴らしながらその場を立ち去った。 その日、俺と亮太は初めて学校をサボった。