俺は、いまだ呆然としている亮太を残して、バス停へと走った。 やじ馬をかきわけて、中のほうへと進んでいく。 救急隊員が担架にけが人を乗せている最中だった。 バス停のまわりは、まるで地獄絵図のようだった。 散乱したガラス片。 飛び散った血のあと。 この時間は高校生が多かったから、いくつものカバンからは教科書などが飛び出していた。 ――紗枝は……どこだよ!? 紗枝の姿を探すけれど、ごったがえす現場ですぐに見つけることは容易ではなかった。 「おい、いたか?」