「直樹くん?」 「ジャージ忘れた。俺、取りに帰るわ」 「えぇっ? 間に合うの?」 「一本あとのバスで行く」 すぐに踵を返して、家まで猛ダッシュする。 つぎのバスでも、じゅうぶん学校には間に合う。 ただ、紗枝と同じバスには乗れないけれど……。 「……っきしょー!」 ジャージを家に忘れた自分を、思い切り怨んだ。 ちゃんと持ってきていれば、亮太が来るまでのほんの数分。 紗枝と一緒にいられたのに。