「おはよう」 いつものバス停。 俺が一番乗りで来て、紗枝が少し遅れてやって来る。 亮太はバスが到着する間際だ。 「おはよう」 「寒いねー、今日も」 薄いピンク色の手袋をはめた紗枝は、両手を口にあてがい、はぁーっと息を吐き出す。 「早く春にならないかなぁ」 「そうだなぁー」 俺も紗枝も、同時に空を見上げた。