VTRで見た副社長は、社長と瓜二つの顔をしていた。
違うとしたら黒髪と
性格が違うぐらいだろうか。

積極的にメディアに顔を出したりと
高いカリスマ性と人気を発揮する社長と違い
副社長は、めったに表舞台に出て来ない。

会社でもトラブルがある時ぐらいで
見れたらラッキーと噂されているぐらいだ。

それと私の採用と何か関係しているのだろうか?

「朔夜副社長のことですから
もしかしたら何か別の考えがあるのかも
しれませんよ?」

市原さんがフォローをしてくれた。

「別の考えねぇ……」

ジロッと私を睨んでくる。
あまりにも睨んでくるので硬直してしまう。

ど、どうしよう。
まるで蛇に睨まれた蛙みたいだ。

するとガタッと立ち上がると社長は、

「市原。車を手配しろ。
それと午前中の仕事は、全てキャンセルだ」

細かく市原さんに指示を出した。