「あ、あのすみません。
もう一度お願いします!」

どうしよう。
最初から怪しい空気になってしまった。

慌てて頭を下げると
社長は、ハァッと呆れたように
ため息を吐いた。

「だから、何で出勤初日から
リクルートスーツなのかと聞いているんだ!?
これから、また就職活動でもする気か?」

えっ?これだとダメなの……?

「あの……これだとダメでしょうか……?
私、これしかスーツを持ってません」

一応スーツだし、いいと思っていたのだが……。

「ダメに決まっているだろ!!
お前……これ1着しか持っていないって
どういうことだ?
秘書になるのなら用意ぐらいしとけ」

そんなことを言われても……そう何着も
買えるほどの余裕なんてない。

どうしよう……これだと
秘書としてやっていけないのだろうか。

しゅんと落ち込んでいると
第1秘書で私の先輩になる市原さんが

「響夜社長。これを……」

そう言い何かの書類みたいなものを
社長に渡した。