だが、なかなか泣き止むことが出来ない。
すると社長は、頭をかきながら

「あぁ、もう。泣き止め」

私をギュッと抱き締めてくれた。

えぇっ!?

「あの……社長!?」

「いいから……泣き止め」

力を込められた腕。
温かさが直接伝わってきてドキドキと高鳴る。

温かい……。

泣き止むまで抱き締めてくれるのなら
まだこのままで居たいと思ってしまう。

そっか私は、社長のことが好きなんだ。
胸が締め付けられそうになるのは
このせいだろう。

「あの……もう大丈夫……です。
ありがとうございます」

意識すると恥ずかしくなる。

「本当に……か?」

抱き締めた手を離して私を見つめてきた。
顔が近い……。