彼についていくこと数分。


彼の家らしいマンションに連れてこられた。


オートロックがないマンションだ。


一階に三部屋しかなさそう。


エレベーターもない。


階段がすぐにあり、階段の左側に三部屋並んでる。


彼は、階段を通り過ぎて一階の一番奥の部屋の鍵を回した。


コンクリートの灰色の壁が私を拒絶している。


私も、灰色の壁を拒絶している。


「……」


やっぱり来たらいけなかったかもしれない。


「あの…私……」


知らない男についていくなんてどうかしてる。


どうせ、この男だってアイツと同じ…。


優しいのは今だけでしょ…?


「帰んの?」