月光 ~すべてのひとかけら~

「なんならお前もここで殺してやってもいいんだぜ?」


先生がヤンキーに包丁を向けた。


「クッソ…」


悔しそうに顔を歪めるヤンキー。


私さえここにいなければ、このヤンキーだって簡単に先生を半殺しにできたはず。


ヤンキーもそう思ってるに違いない。


だから、私を助けてくれるわけがないんだ。


「悠瞳は今お前の所に転がり込んでるのか」


先生の言葉に、ヤンキーの顔が〝しまった〟というものに変わった。


「お前が俺を潰せば、悠瞳の居場所がわかったところで問題なかったけど、残念だったな。お前の家なんかアッサリわかるだろうな。すると悠瞳も…」