月光 ~すべてのひとかけら~

先生は、私の方に駆け込んできて、私を無理矢理立たせた。


「……!?」


突然現れた私の存在に、ヤンキーは目を見開いた。


そして、先生はキッチンにある包丁を手にとって、私の首に左腕を巻きつけた。


刑事ドラマでよく見る人質。


まさか私が人質にとられるとは思ってなかった。


「こいつを殺されたくなければ大人しくしろ」


先生は私をキッチンから引っ張り出して、見せつけるかのようにヤンキーにアピールする。


ヤンキーに私を助ける義理はない。


だから、私を見捨てて逃げる道だってあるし、むしろそっちを選ぶのが当たり前だ。


もう完全に終わった。


バチが当たったんだろうな。


悠瞳をいじめたバチ。