月光 ~すべてのひとかけら~

そして、その状態のままリビングに連れ戻され、リビングの入り口からは見えないキッチンの影に押し込められる。


「絶対声出すなよ。出したらどうなるかわかってんだろうな?」


頷くしかなかった。


本当は助けてって叫びたいのに。


ピーンポーンピーンポーン


先生は居留守を使うつもりはないのか、現金に向かって行くのが見えた。


私は息を殺して、時が過ぎるのをただじっと待つ。


ガチャ


扉を開ける音。


「キミは?」


先生が〝表の顔〟で対応してる声が聞こえた。


私の存在に気付いてほしいのに…。