月光 ~すべてのひとかけら~

「俺が悠瞳と付き合ってることを広めたのもお前だろ?そんなやつは信用ならないんだよ」


ニタっと笑った先生は、もう私の知ってる永蔵先生なんかじゃなかった。


ただの狂人だ─。


「いやっ!!」


また飛んでくる拳が怖くて暴れたら、運悪く永蔵先生の顔に当たってしまったんだ。


「てめぇ」


胸ぐらを掴んでいた手が離れたから、とっさに玄関の方まで逃げたけど、外に出るまでに追い付かれてしまって、意味がなかった。


腫れ上がって痛い腕をガッチリ掴まれて、壁に押しつけられる。


「てめぇ、殺されてぇの?」


尋常じゃない殺気を感じた。


逃げなきゃ殺される……。