「てかさ。悠瞳、まだソイツのこと好きなんじゃねぇの?」


設楽さんの手が離れていった。


「…そんなわけない…。あんなやつ……」


好きなわけない…。


今痛む傷は、全部アイツによってつけられた傷なんだ。


心の傷だって。


男恐怖症になったのだって。


女が苦手になったのだって。


全部先生のせいだ……っ。


「そ?ならいーけど」


先生のことを思い出したら気分が悪くなってきた。


「ごちそうさま」


せっかく設楽さんが作ってくれた料理を半分以上残して和室に戻る。


「はぁ…」


…なんか……やだな。


いつまで苦しめられるんだろう。


先生の呪縛に…。