「陵くんは、設楽家に引き取られ、施設の生活からは抜け出せた。その事に負い目でも感じていたのかしらね。あなたを守りたいんだとか」


バカにするような口調に苛立つ余裕すらなかった。


設楽さんと私が双子。


その事実は飲み込みにくいものだった。


容易く飲み込める事じゃない。


「設楽さんは…」


「陵くんの方が先に生まれたみたいね」


じゃあ、設楽さんはお兄ちゃん…。


〝男として〟じゃなくて〝兄として〟なんじゃないの…?


設楽さんは…何を思ってあのときと〝男として〟って言ったの……?


「双子だってことを教えずに育てたものだから、あなたは何も知らないのよ。気にすることないわ」


じゃあ設楽さんは何で知ってたのか。


分からないことばかり……。