月光 ~すべてのひとかけら~

怖い……。


後退りしようにも、狭くてできない。


「樹!そいつにあんま近づくな。こっち来いよ」


恐怖から助け出してくれたのは、設楽さん。


「なんだよ、嫉妬かー?」


ケラケラ笑いながら、樹と呼ばれた人は脱衣場を出ていった。


「……はぁ…」


男が怖い…。


和室に隠れとこうかな…。


俯きながら、脱衣場を出て和室に移動する。


たった少しの移動距離なのに、その瞬間に限ってリビングのドアが開いた。


さっきの金髪とは違う、黒の長髪の男がドアを開けていた。


「あ、ちょうどいい。こっち来いよ。彼女ちゃん」


人懐っこそうな笑顔を向けられても、私の恐怖心は拭えない。