「叶翔さん…?」


月光の反射が消えてしまった黒い海を眺めてるよう。


「……はぁ…」


小さく漏れたため息。


莉桜のこと…考えてるのかな……。


こんなに近くにいても、叶翔さんが想うのは莉桜…か。


「あの…莉桜に言ってみようか…?」


莉桜のことで悩んでるのなら、私は叶翔さんを悩みから解放させてあげたい。


それが莉桜と叶翔さんの仲を取り持つということになっても。


……好きな人が悩んでるのは嫌だから…。


好きになってはいけない人を好きになった私が悪い。


だから、せめて叶翔さんの助けになりたい。


叶翔さんが私を救ってくれたように…。