嫌いだった月光。


だけど…今は嫌じゃない。


美しくて…


「あ…影になっちゃった…」


脆くて儚くて……。


大きな雲に隠れてしまった月。


もう月光は届かない。


ほんの一瞬だったけど、感動的な景色を見れた。


「…綺麗だった。ありがとう叶翔さん」


わざわざ連れてきてくれて。


彼女でもない私を連れてきてくれて……。


莉桜に怒られちゃうかな。


こんなことしてたら…。


「…………」


叶翔さんを見ると、叶翔さんは何かに視線を奪われたようにジッと固まっていた。