「ここらへんだな」


叶翔さんがそう言って、砂浜に座った。


手が離れてしまったことは残念だけど、こんなに近くにいられる。


彼女じゃないのに、隣に座れる。


「お前も座って見てみろよ。反射して綺麗に見えるから」


言われた通り座ると、景色はガラリと変わった。


黒い水面が黄金に輝いている。


キラキラ光を反射させ、夜を夜じゃなくしている。


神秘的という言葉がピッタリだろうか。


空を見上げれば綺麗に輝く大きな月があり、さまざまな星が月を取り巻いている。


「綺麗…」


こんなに綺麗な景色、見たことない。