月光 ~すべてのひとかけら~

ナイフなんて……!!


「莉桜…っ」


無理だよ…。


最悪、死んじゃうことだってあるんだよ…!


「ナイフがどないしたん。なんや、今から山行ってキャンプでもするんか?」


莉桜が口角を上げ、なんの躊躇いもなく男の手からナイフを蹴り飛ばす。


カランカラン…


静かな裏路地に金属音だけが響いた。


─グイッ


「きゃあっ!!」


背後にいた男に羽交い締めにされてしまった。


その瞬間、永蔵先生のことが鮮明によみがえる。


ドドドドド…


心臓が速くなりすぎて呼吸ができない。