月光 ~すべてのひとかけら~

裏路地に入ってから、莉桜は言った。


「でも…叶翔のおかげでうちはこうやって生きててられる。叶翔ほど優しい男はおらんよ……」


意味ありげな言い方。


…まだ何か莉桜には過去があるのかな。


「優しい優しい彼氏がいるのに俺らとお遊びか。いいご身分だなぁ?榎本莉桜」


心地よい空気をぶち壊す厳つい声。


気づけば、スキンヘッドや燃えるように赤い髪の毛の男など、10人近くの男に囲まれていた。


「……なんやねん。邪魔やねん。どけや」


莉桜は怯む様子なんてちっともなくて、私の手を握り、男の間を突っ切ろうとする。


明らかにヤバそうな男たちに、私の心臓は異様なまでに暴れだす。


「カネせびるだけせびって彼氏持ちか。おまけに情報漏洩。ナメんじゃねぇよ」


スキンヘッドの男の言葉。


莉桜に、ギュっと強く手を握られた。


初めて見る、莉桜の焦っている顔。