「こんな苦しい人生、生きてる意味ないのに……でも…死ぬ勇気がない……」


声が震えそうになるのを堪えて話す。


叶翔さんは何も言わずに話を聞いてくれた。


それが嬉しかった。


波は穏やかだ。


空は澄んでいる。


「そーやって深く考えるから悩みの渦に巻き込まれて苦しいんだよ。何も考えんな。楽に生きてればいい」


叶翔さんの言葉は、スーっと私の心に響き渡った。


心が晴れた気がした。


「俺は、父親に決められた人生から逃げて星龍に入った。俺みたいに逃げればいーんだよ」


もしかして、叶翔さんってお金持ちの息子さんなのかな……?


すごく大人で…こんな私を変な目で見ないし……受け止めてくれそうだから…。


「逃げ場がないなら、俺が逃げ場になってやる」