「……で？俺は自分の話をしたくてお前を連れてきたんじゃない」


横目で私を見、また海へと視線を戻した叶翔さん。


海が似合う。


でも…今の叶翔さんは、波にそのまま呑まれてしまいそうだった。


私も…呑まれてしまいそう……。


決して荒くはない、この波に…。


「……永蔵先生、人気ある先生だから、彼女の私は嫌われ者で友達いないの」


なるべく淡々としゃべって、傷ついてるように見えないようにした。


だけど、傷ついてることなんか叶翔さんにはお見通しみたい…。


「…私、親に捨てられて一人ぼっちなんだ。友達もいなければ家族もいない……。何のために生きてるんだろう、私が死んだって誰も悲しまないのにって…。そう思うと、生きてる意味が見出だせなくて……」


生きることの意味って何…？


どうして私はこんな苦しい人生を歩んでいるの…？