「てか、夏川のこと気になるんだ?男恐怖症なのに」


設楽さんに指摘され、頬が赤くなった気がした。


「まっ、いーんじゃねぇの?新しい恋も必要だし」


恋なんかじゃない。


〝好きな芸能人〟って感覚に近いだけ。


…だよね。


「あ。もう俺ん家にいる必要もねぇし、帰りたかったら帰ればいい」


たった数日の居候生活、案外早く終わった。


これも、叶翔さんのおかげだ…。


叶翔さんが助けてくれたおかげだ…。


「じゃあ…夕方には帰るね。お礼を込めて、お昼ご飯は作りたい…けど……いい?」


私が控えめに訊ねると、設楽さんは笑顔で頷いてくれた。


設楽さんが私を拾ってくれなかったら…今頃どうなってたのかな……。


あのまま寒さに震えて凍死していたか…アイツに連れ戻されていたか……。


こうやって…変な出会い方だけど、出会えたのは何かの縁なのかもしれないな……。