課長が帰り、ひとりベッドの中でどのくらいぼーっとしていたのだろうか。

気づけば真夜中になっていた。

この前といい、さっきといい、課長との距離が近い気がする。

普段の課長は部下に的確に指示を飛ばして、本人もあちこち動き回っていて、とにかく忙しい人である。

仕事が出来るから上層部からも部下からも信頼されている。

その上イケメンで35歳独身とくれば、モテないわけがない。

けれど、仕事一筋な課長は女性からの誘いに全く関心ない様子。

一切受け付けないといった態度で、隙がない。

そんな課長に二度も接近されてしまうと、勘違いしてしまいそうになる。

特に私は恋愛とは縁遠い生活を送っているから余計だ。

けれど、冷静になって考えてみれば、私と課長の間になにかが起こることは万にひとつもないのだと気づかされる。