妖精の涙




見兼ねた明は、深雨との会話をやめ、その場の全員に聞こえるよう言った。





「明、何があったのですか?」





桜は村人に問い続けるのをやめ、明のほうを向いた。





「この人たち、行き場のない深雨を追い返そうとしたの。ほんっとに心が狭いんだから! 雨が降らないってだけで深雨当たるなんて最低! こんな人たちばっかの村に、雨が降るわけないじゃん!」





明の言葉に、言い返せる村人はいなかった。




村人は下唇を噛み、俯いた。





「深雨……? それは、明の後ろにいる子のことですか?」




「うん!」





明はやっと、深雨の前から退いた。




だが、深雨は恥ずかしくなり、また明の背中に隠れる。