妖精の涙




深雨は涙を止めることを諦め、明を抱き上げ、呼びかけた。





「明、お願い、目を開けて!」




「み、う……ごめん……話、聞いてあげられなくて……」





深雨は首を横に振る。





強い雨が、容赦なく二人を打ちつける。





「私、嬉しかった……短い間だったけど、深雨と一緒にいれて……」




「私も嬉しかった! だから、もっと明と一緒にいたい! 私ね……私……」





深雨は何か言いたげにしているが、言葉にできないようだった。





「深雨……無理して言わなくて、いいんだよ……?」





明の一言を聞いて、深雨は覚悟したように話し始めた。