それは、深雨だけに向けられた言葉じゃなかった。
近くにいる、陰口を言い続ける村人たちにも向けられていた。
それを感じ取ったのか、あたりが静かになった。
「ね? 私たちには誰にも逆らえない、強い味方がいるの。怖いものなんてないよ」
「……そうだね」
それから、村人たちが陰口を言ってくることはなかった。
つまり、深雨を村から追い出す……改め、泣かして雨を降らせるという計画を止めたのだ。
だが、どうしても雨を降らせたい村人がいた。
それは、明の陰口を言うよう仕向けた男だった。
男は、一人で雨を降らす、深雨を悲しませる計画を立てていた。
それを知らない明たちは、いつも通りの、平和な日々を送っていた。



