「お母さんは怖くないよ?」 「うん……」 深雨はゆっくり、でも明の袖口を離さず、明の横に立った。 桜は深雨の前に立ち、深雨と同じ視線の位置になるよう、その場に膝をついた。 「深雨ちゃんはいくつ?」 「……十一歳です」 「え!?」 深雨の歳を聞いて、誰よりも早く反応したのは、明だった。 深雨は何事かと、明のほうに視線を移す。 「深雨って私と同い年なの!? 年下かと思ってた……」 「でもよかったじゃない、明。一緒に学校に行く子ができたのよ?」 「そうだけど……」