僕は、小さな頃から、絵を
描くのが好きだった。

でも、中学、高校と通過す
る中で、自分の背丈を理解
していた。

僕は、絵描きになることよ
り、絵を描き続けることを
望んだ。

だから、美大を目指すので
はなく、この田舎町でも、
安定した仕事が続けられる
薬剤師を目指した。

都会の大学で学び、薬剤師
になったときは、心底ホっ
とした。

『これで絵が続けられる』
と思った。

故郷の田舎町に戻り、川沿
いの古い民家を安く借りて
住居とアトリエにした。

毎日をやり過すだけの生活
を続ける中で、自分を解放
する場所は、このアトリエ
だけだった。

一人ぼっちの世界が心地良
かった。

『やりたい』ことがあるだ
けで、人間は生きられると
思った。