「本当にこれでよかったのかな?」


「当たり前だ。
俺の家族はもう、お前だけだよ、彩羽」



強がりにも聞こえるその言葉。

でも、素直に嬉しくて頬が緩む。



彼の目にあった涙はいつの間にかなくなっていた。




「蘭君...すき、私がぜんぶ」


護るから。


だから安心して、その瞳もその冷たい唇も、背負った痛みも


全部私に預ければいいと思う。




「いろ、は。...俺にはお前しか...いないから...だから...」



遠のいていく意識の中で彼は愛しい言葉を私に浴びせて、また目を閉じる。



彼の言葉を先読みして、また頬を緩ませた。



ねえ、私は絶対に蘭君を1人になんかさせないよ。



彼が起きたらこう言おう。
あなた以外いらないと。


私がキスしたら、目覚めてね。


おとぎ話のような甘い世界に連れて行ってあげる。


今度こそあなたが...幸せになる番だからーーー...。




ね?












fin.