【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。








*



学校に行くと、必ずと言っていいほど
朝と放課後、どんなに無視しても校門で待ち伏せてる鈴君がいる。



「ねえ兄さん帰ってきて」


「母さんが兄さんの顔見たいって」


「また家族に戻ろうよ」



残酷なことを繰り返し言う鈴君は
蘭君の気持ちなんか考えず
いや、だからこそ。本当に蘭君と家族に戻りたいみたいだ。



それでも蘭君が過去を許すわけがない。


そう......思っていたのに。


今日の蘭君はいつもとなにかが違う。


あんなに無視していた鈴君を、自ら屋上に呼び出すなんて。


信じられない。


蘭君の心情に変化でも...?


でも、そんな簡単に許せる過去なら
とっくに解放されてるはずでしょ?胸の痛みから。



なにを考えてるの蘭君。


なんで私には相談してくれないの?