着ている服を脱ぎ捨てて、愛の証拠だと彼に体を見せる。
蘭君は目を見開いて、すぐに私から目を逸らした。
強引に迫ってきても、結局最後まで抱かない彼は、弱っていても正気なんだ。
正気だから...壊れにくいし、自分の弱さを上手く表現できないんだと思う。
いっその事壊れてしまえば、楽なのにね。
「...ダサすぎだろ、俺」
「蘭君は...どんな時でもかっこいいよ?」
「バカッ...好きな女の前で、泣きたくねえんだよ」
そう言って、涙を隠すためだけに私を抱きしめる蘭君は、どこまでも弱い自分を見せたくないらしい...。
変なところでプライドが高いから嫌になる。
でもそれが蘭君ならしょうがないね。
惚れた弱み、そんなところも含めて全部好きだよ。
「彩羽...ちゃんと服着ろよ」
「蘭君に抱きしめられて、隠れてるから大丈夫じゃないかな?」
「お前...俺が手出さないの知ってて、んな事言ってんのか?
これじゃあただの生殺しだな...。
お前は悪魔か?」
「弱ってる人間の心の隙間に、入り込むのが悪魔なんです」
「...」


