冷たい頃の蘭君を知ってるから、甘えられることに相変わらず慣れない。
この後もずっと蘭君に抱きしめられたまま。
ホコリ臭い空き教室で、ジッと口を閉じていたことに、緊張さえ覚えて。
ようやく離してくれたと思ったら、ちょうど1限目の始まりを知らせるチャイムが鳴るし...もう訳わかんない。
2人仲良く遅刻。
恐る恐る教室に戻ったら、やっぱり先生に怒られた。
「...もう、蘭君のせいで怒られたんだよ?
少しは反省してよ」
「おい彩羽、俺教科書持ってきてないんだわ。
見せろ」
「...」
この人、学校になにしに来てるんだろう...。
しかも全然反省してないし。
机と机を隙間なくピッタリ合わせて
蘭君に教科書を見せてあげた。
チラッと覗くように隣を見たら、蘭君の美形がすぐそこに。
やっぱり...未だに信じられない。
蘭君が私の通う学校に転校してきて
しかも同じクラス、隣の席。
夢に描いてた状況が現実となって。
わたし...幸せすぎて怖いです。


